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極上の鄙び温泉と名物おじいちゃんに会いに【濁川温泉 新栄館】

世の中には、いやおそらく日本だけかな

鄙びた(ひなびた)温泉」というジャンルがあり、それをこよなく愛する人がいる

 

ひなびた温泉研究所 | ひなびた温泉が大好きなレポーターがひなびた温泉もとめて全国を東へ西へ。ひなびた温泉をレポートしていきます。

 

そんなジャンルがあることすら知らなかったけど、このサイトを書かれている人の本を読んでからひなびた温泉というものに非常に興味を持つようになった

ひなびる、という概念は説明しにくいけれども、人間そのものではなく周りの環境を通して時間の経過を感じ、歴史そのものを愛でるような抽象的な嗜好だと自分は解釈している

もちろん人それぞれの楽しみ方があっていいし、その抽象度になんとも日本人特有の感性のようなものが見えて素敵だなと思う

  

ひとつ言っておきたいのは、「ひなびている」とは、決して「汚い」と同意味ではないということ

この新栄館の写真をあげたときに「汚い」とコメントが来て悲しくなったので

 

さてその本でも取り上げられていたこの新栄館

いつか行ってみたいな~と思っていたところ、JALのどこかにマイルで新千歳を引き当てたので急遽行けるチャンスが

新栄館は人気の宿なので慌てて電話をすると出たのはゴリゴリのおじいちゃん

話の途中でなぜか電話が突然切れて、こちらからかけなおす、を2回くらい繰り返してなんとか予約成立

最後はおじいちゃん特有の「あいあい~」で強制的に話をまとめあげようとする感じでぷちっと電話が切れちゃったので本当に予約が取れてるか心配しながら現地へ

 

 

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宿に着くとおそらく電話主であろうと思われるおじいちゃんが部屋まで案内してくれる

 

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お年を聞くとなんと89歳らしい めちゃくちゃ元気に見える

例年この時期は混むらしいけど今日の客は俺だけらしい 土曜なのに

部屋の窓からはなにもない田舎の風景が見えて落ち着く

 

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部屋の奥にはなぜか、中小企業の事務職が座るような年季の入ったオフィス椅子

畳の上をオフィス椅子で滑走したことがないのを思い出したので少し走らせてみたら、椅子越しにすごい罪の感触が跳ね返ってきてすぐにやめた

 

 

さてさっそくお風呂へ!

 

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うおお~鄙び~~

 

温泉好きにはわかってもらえると思うけど、こういう感じの「フチのない浴槽」ってめちゃくちゃそそられる

入ってみるとこれがまた素晴らしいお湯

3つともお湯の熱さが違っていて、心なしか匂いや湯ざわりも違う気がする

お湯の感じとしては、おととしに泊まった東鳴子温泉の旅館大沼に似てた気がする

こんな湯を今日は独占できるらしい

 

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晩御飯はおじいちゃんが持ってきてくれる

これまたおいしそう

ごはんを運び終えて部屋から出ていくおじいちゃんの背中に「いただきますね」と声をかけてパクパクと食べ始めると、おじいちゃんが再び登場

右手には、のどごし生が握られている

まさか と思う

 

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おじいちゃんは机を挟んで俺の左前にすっと座る

真正面ではなく左前 異性と距離を縮めたいときのポジショニング

 

そしておもむろに話し始めるおじいちゃん

なんということか 俺の食事の相手をしてくれるらしい

これはもうコンパニオンを超えた極上のサービス

なかなかこれだけのお年の方とお酒を飲んで語らう機会などないものである

色々なことを聞かせてもらおうと思ったが、このおじいちゃんめちゃくちゃ訛りが強く、またお酒に割と弱いのか顔が真っ赤になってきて、途中から言葉という概念がなくなり、音程しかわからなくなった

対してこちらも持ち前の滑舌の悪さでおじいちゃんに何回も聞き返されるので、もうお互い相手が何を話しているかとかよくわからなくなってきていた

ただなんとなくお互いに自分を真上から客観的に見て、なんかやってんなーってなってるような 寄生獣みたいな世界観

2時間わけもわからず笑いっぱなしで気が付けば21時くらいになってたのでそろそろ引き上げましょうかってなって宴は終了

来年も来てほしいけど俺死んでるかもな!って老人にしか使えない不謹慎ギャグをかまして自分の部屋に帰って行かれた

 

今日は貸し切りということなので、極上風呂に文庫本を持ち込んで夜中の2時くらいまでひたすら浴場で過ごす

こんなに幸福な時間は久しぶりであった

 

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ジャケ買いしたやつ

 

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夜は少しオカルトチック

 

翌日は朝から函館観光をしたかったので、うしろ髪を引かれつつも朝早くに宿をあとに

函館までも車で1時間ちょっと

道南観光の際には是非立ち寄ってみてほしい鄙び温泉でした 

 

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次の日に訪れた函館ロープウェイ スティーブンキングのミストかと思った 結局函館山行けず